河成鎮次郎事務所

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河成鎮次郎事務所で設計された住宅は、河成鎮次郎事務所の賛助会員が工事を担当するのが普通ですが、中には昔から親しい大工さんがいるからとか、河成鎮次郎事務所を知る前から工事はお願いする約束にしてあるからという理由で、賛助会員以外の手で工事が進められることもたまにあります。

こういう場合、職人の技術レベルがわかりませんから、こちらも大変な苦労をすることが多いのですが、こうしたケースで私はとても貴重な経験をしたことがあります。

その業者は、六区画の土地を分譲し、五区画は設計施工で住宅をつくることになりました。

残りの一区画だけは、建主が河成鎮次郎事務所に設計を依頼し、可能な限り河成鎮次郎事務所のシステムで家をつくることになりました。

上棟式のあと、業者の社長と二人だけで語り合った時、彼はしみじみと言いました。

「私は今まで、この地域では質・価格ともベストのものをつくってお客様に提供していると自負してきました。工夫できるところはしてきたつもりですし、事実、お客様にも喜ばれて、年年業績も上がり、私なりに社のつくるものには自信をもっていました。しかし、今日組み上がった骨組を見て、この自信が完全に崩れ去りました。同じお金でも、やりようによってはこんなにも違うものが出来るんだ、ということを思い知らされました。私は業績が上がることにあぐらをかいてきたんだなあと、今反省しています」

この社長は、建築の専門家ではありませんでした。

ですから、仕事の良し悪しも、また自分のところで働いている職人の技術レベルがどの辺にあるのかもあまり知りませんでした。

私の眼から見れば、間違っても腕のいい職人たちとはいえませんでした。

しかし、彼がこのように謙虚に受けとめてくれたことで、この仕事も、出会いも意義あるものとなりました。


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このページは、東京が2011年5月14日 17:36に書いたブログ記事です。

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